35歳転職限界説を徹底解析-2013年

35歳転職限界説を徹底解析-2013年

 

  1. 限界説の由来と変遷
  2. いま、企業がほしい「35歳」とは 
  3. 転職成功例と失敗例

 

 

 

1.限界説由来と変遷
35歳限界説はウソ?ホント?

 

30代で転職を考えたとき、真っ先に頭をよぎる「35歳転職限界説」。果たしてこれは、本当なのだろうか?

 

確かに、2008年ごろまでは35歳以上では厳しかったとは言える。35歳どころか、30歳でさえ転職は難しかった。その背景には企業の人事戦略の硬直化があったと言える。

 

企業は新卒者を大量に採用し「育てる」という従来の人事を続けていた。従業員も新卒で入社したら、定年まで企業に居るという意識が強かった。このため、転職という選択肢が企業側にも、社員側にもあまり強く意識されていなかったのだ。

 

しかし、リーマンショックを境に企業は即戦力を求める方向に急速にシフトした。2度の政権交代を経て徐々に経済の融雪が始まった今、多くの企業は不況期に諦めざるをえなかった人材集めを盛んに行っている。これに合わせて、転職市場の活気はさらに高まっている。

 

そして企業側から「即戦力」として目されているのが、実は30代なのである。図1は人材大手インテリジェンスの運営するDODAを利用して転職に成功した人の年代別の変遷である。

 

(図1:転職成功者の年齢割合 出展:DODA)

 

 

注目して欲しいのは黄色い(色は目立つように変更?)線だ。他の年代が軒並み横ばい、20代にいたっては続落している中、35歳以上はリーマンショック発生直後の2009年初め以降、ほぼ一貫して割合が増加している。

 

一時期は転職成功者の半分以上を占めていたいわゆる「適齢期」とされた20代後半の年代は今や40%前半まで低下している。

 

 

35歳転職有利説の時代へ!?

このデータは、先述した企業の人事戦略の大転換を如実に反映している。「手のひらを返した」と言っても過言ではないレベルでの推移である。

 

さらに、このデータには2014年以降の転職市場を占う意味もある。就職氷河期に新卒や20代の採用を控えた結果、企業内で育てられた生え抜きの人材が不足しているのである。若手社員のマンパワーがリーマンショック以前のレベルに回復するまでにはまだまだ時間がかかる。

 

一方で、景気回復との円安の影響もあり、大手を中心に業績を伸ばすチャンスも同時に到来しているのだ。企業体力の回復と業績躍進を同時にこなすため、企業は実力のある30代を積極的に中途採用している。

 

 

 

35歳限界説は時代錯誤の幻想に

以上をまとめると、「35歳転職限界説」は2008年以前のごく一時期に「30代前半までは転職にある程度有利」という現象が発生したことから蔓延したものであることがわかる。これはあくまで“世相”と呼ぶべきものに過ぎず、法則や定説とは程遠いものである。

 

むしろ、今後しばらくは企業にとって格好の人材である30代の転職市場は、引き続き活性化する可能性もある。

 

そうなれば、35歳転職限界説は幻想として忘れ去られるどころか、「35歳以上からが転職の好機」となる時代に変わってゆくことも大いに考えられる。

 

 

2.いま、企業がほしい「35歳」とは
35歳の人材の真価とは?

では、35歳以上の人材が求められる要素とは何か?一般的に20代や第二新卒なら人材として育てる余地があるし、50代なら幹部として迎え入れたい人材もあるだろう。しかし、35歳という年齢には「中堅」というイメージしか湧かない。

 

しかし、実は中堅こそが求められているのである。かつては30代の転職は中間管理職としてリーダーシップなどの要素が求められることが多かったが、現在ではむしろリーダーより末端の戦力が求められているという。

 

まずは専門性。特にエンジニアなど、技能を持った35歳こそ、企業にとって非常に魅力的な存在なのである。総合力や管理能力は自社のカラーを強く発揮する必要があるため、社内で若手を育成する企業が多いのに対し、技術力は社外から優秀な人材を調達することで飛躍的に向上させることができる。

 

(図2:職種別転職成功者の年齢 出展:DODA)

 

 

中でも転職成功者が特に多いのが建築、土木のエンジニアである。(出典:DODAのグラフ)この職種では、全年代の内35歳以上が半数近くを占めている。その他、電気、機械、医療、化学などで高い割合となっている。

 

加えて、法務や財務、経理などのスキルを持つ人材も35歳以上で強くなるという。いずれも「応用力が効く」「即戦力になれる」「一般職にはない高い専門性がある」という点で共通している。

 

20代と異なる点とは

 

業種別で見ると、建設や不動産で35歳以上の割合が目立つ。業種ごとの差は上記の職種ほどではないものの、今後大規模なインフラを発注する企業や公共事業の再拡大の可能性を考えれば、建築関係の即戦力ニーズは伸びる可能性もある。

 

逆に、20代のシェアが高い分野は営業や販売、広告で、35歳以上はほとんどいない。これは、メディア関連など流れが早い業界が多く、個人の高度なスキル構築よりも業界の変化の速度のほうが早いことが大きな要因として挙げられる。

 

 

しかし、その分人材の流動性も高く、転職の割合が高いのと同時にその背景に、再転職の例も相当数あることが伺える。割合が減っているとは言え、依然として転職の絶対数が多い20代では、こうした傾向も強いと見られる。概観は、以下のテーブルの通りになる。

 

 

 

営業IT/通信機械/電気土木/建設医療/化学販売/サービス
35歳以上 14 △22 △26 ○46 ◎29 ○9 ×
30〜34歳 233938272722
25〜29歳 543734234253
24歳以下 9122725

 

 

3.転職成功例と失敗例

 


転職成功例

 Yさん(36歳)は、中堅の建設会社から転職エージェントを通じて中堅ゼネコンに転職を果たした。前職の建設会社は重工業系の大手から定期的に受注を回してもらっていた孫請け会社だったが、現在は入社した90年代後半頃の半分以下の規模に縮小し、久しくボーナスらしいボーナスも無かった。

 

 Yさんは大卒で入社以来コンクリート施工の業務に関わってきたが、5年目に現場に異動し、技術と知識の両方を磨くことができた。これが中堅ゼネコンの人事の目にとまったのだ。

 

 しかし、ゼネコンは企画から施工まで全て行うことが多いため、技術だけではなかなか転職は難しい。決め手は、「マネジメント力」と「笑顔」だった。Yさんは現場と本社をつなぐ役割の中で、現場でのリスク管理を本社側にフィードバックする力を身につけてきた。全く違う立ち位置で仕事をする人同士を取り持つには、両方に通じる高度な知識と魅力が必要となる。これがYさんの転職を成功に導いたのだ。

 


転職失敗例

 Nさん(38歳)は昨年半ばに大手傘下の医療機器メーカーから外資系商社に転職したが、1年半経った今、再び転職を考えている。年収もアップし、昇進の可能性もある転職先をなぜNさんは去ろうとしているのか?

 

 実はNさんは前職での営業成績が高く、転職エージェントを通じてその力を買われて転職した。Nさんはコミュニケーション力もあり、外資系の人事担当とも臆せず交渉して提示条件よりさらに上の条件も手に入れた。しかし、後輩との折り合いに悩み、成績も下がり気味になって退職を意識するようになった。

 

 Yさんより野心も実力もあったNさんの転職はどこが悪かったのか。Nさんは営業で自社製品の取引先を広げてきたが、医療機器メーカーは営業の範囲が限られており、転職先の取引になかなか慣れることができなかった。専門分野での交渉力は高くても、それが応用出来なければ即戦力となることができない。

 

 加えて、転職先の外資系企業は円高当時の影響が比較的少なく、不況下でも国内で優秀な新卒者を獲得できていたため、Nさんは若い営業職とも仕事が重複してしまった。

 

 そして、何よりNさんに足りなかったのは業界への勘とマネジメント力であった。Yさんは前職でスキルと同時に業界内で応用出来る力を多く獲得してきたのに対し、Nさんはひとつの分野に特化しすぎた嗅覚を、新しいグランドで上手く発揮できなかったのだ。

 

まとめ

 35歳転職限界説はもはや過去のものとなりつつあるが、それは35歳の人材と企業の人事戦略がマッチして初めて起こった変化である。いま、追い風が吹きつつある35歳以上の転職市場では、自分の能力を活かすも殺すも、市場への冷静な洞察力次第である。 

 

 


30代転職のトップ 35歳転職限界説は本当? 転職動機を見つめなおす おすすめ転職サイト