その転職でワークライフバランス向上は実現できるのか?

30代で転職を希望する理由には、現職場のハードワークから逃れたいという声が少なからずあります。深夜残業や休日出勤の続く現状に嫌気がさし、仕事と私生活のバランスがとれた人生にしたいと願うのも無理はありません。また、仕事に充実感が味わえないために、転職を考える人もいるでしょう。

 

でもあなたがしようとしているその転職で、果たして人生を満たすことは可能なのでしょうか。見果てぬ夢を追いかけて転職をくりかえさないためには、仕事を決める前に今いちど自分を振り返ってみる必要がありそうです。

 

人生の充実を仕事だけで叶えようとしていないか?

ワークライフバランスの乱れが転職意識を高める

ワークライフバランスが崩れ、満足度が下がるにつれて転職への意識が高くなる傾向にあります。転職の理由ランキングでも、「残業が多く自分の時間がない」などプライベートの不足は常に上位にランクインしています。

 

ワークライフバランスが悪いと考える半数以上の人が、転職を考えたことがある、あるいは実際に転職をしたと回答。仕事を選ぶ上では、業務時間が大きな条件として捉えられていることがわかります。

 


出典元:リクルートエージェント

 

特に年代層が下がるほどこの傾向は強くなります。多少給与が下がったとしても自分の時間を確保したいと考える人は、中堅層である30代でも少なくありません。

 

現在の職場でワークライフバランスについて悩みを抱えている人は、転職の条件として勤務時間の希望を具体化させておくと良いでしょう。

 

人生が充実しないのはワークライフバランスのせいだけ?

一方で、転職へと向かう前に再度考えておきたいことがあります。それは「生活が楽しくないことを、すべて仕事のせいだけにしてはいないか」という根本的な問題です。

 

職場を変えて多少時間に余裕ができれば、果たして人生は改善されるのでしょうか。現在の仕事にベストを尽くさず、環境改善だけを求めるのであれば、転職してもいずれ別の不満点を“探す”ことになるかもしれません。

 

筆者がキャリアカウンセリングを行なった経験でも、仕事に打ち込んでいない自分を棚に上げているケースが多くみられました。仕事が面白くないのも、プライベートが今いちなのも、すべて会社に理由づけしているようにすら聞こえたものです。

 

仕事を面白くするのは各個人の力量です。30代ともなれば、自分なりの業務への向き合い方を身につけているのが当たり前と考えて良いでしょう。それくらいでなければ、転職自体うまくいくはずもありません。

 

業務時間が長いのは確かに辛いことですが、同じ環境でも充実感を覚え、同時にプライベートでも満足している人は周囲にひとりもいないのでしょうか。

 

働く時間の短縮を求めて安易に転職に走る前に、時間だけの問題なのかどうかをじっくりと考えて下さい。職場が変わっても、人生が充実するという保障はどこにもないのです。

 

転職先の状況把握は十分か?

8割が転職後にギャップを感じている

実際に転職した人たちへのアンケートでは、転職後に入社前の印象とのギャップを感じた人が全体で8割を超えています。さらに、感じたギャップによって次の転職を考えたという回答は75%にも及びます。

 


出典元:enミドルの転職

 

苦労して転職を果たしても「こんなハズでは」と失望してしまい、さらに転職を重ねる結果に。しかも、就職がさらに厳しくなる年代ほど、不満が多いという皮肉な状況が見えています。

 

ワークライフバランスの要となる労働時間についても、実際に働いてみなければわからないものです。求人票や募集要項だけでは、真実はつかめません。情報としては、まったく不十分と考えて良いでしょう。

 

先の調査でも、入社後にギャップが生まれる原因の1位として「入社前の情報収集が不足していたため」と37%の人が答えています。

 

転職はこれまでの会社に別れを告げるというだけで、妙な昂揚感があるものです。記載されている内容だけで「条件良さそう」などイメージを先行させてしまうと、現実から逸れ、チェックが甘くなる恐れもあります。

 

転職者の8割以上が、「思い込んでいた条件と異なっている」という事実を、肝に銘じておく必要があるでしょう。

 

情報は多方面から集めるほど良い

では実際に応募をしようとする企業について、情報をどのように集めて行けば良いのでしょうか。表面的ではなく、生の声を聴く手段としては次のようなものが挙げられます。

 

  • 直接社員の話を聞く
  • ハローワーク担当者や転職エージェントを活用する
  • SNS、ネット上の声を探る

 

もっとも良いのは、現在そこに勤めている人の話を直接聞くことですが、運よく知人やその友人などを見つけられる確率は限りなく低そうです。

 

現実的には、ハローワークの担当者や転職エージェントに内情を聞くのが有効な手段といえるでしょう。ハローワークの担当職員は企業の情報に精通していますし、以前に紹介した社員などから様子を聞いている場合があります。

 

また、求人募集をする頻度が高い、紹介してもなかなか採用に至らない、定着率が低い、などはこちらから聞けば、意外と良く教えてくれるものです。

 

転職エージェントは企業に出入りしているので、かなり具体的な情報をつかんでいます。企業は大事なクライアントでもありますので、それほどひどいことは言わないにしても、残業の頻度や時間などは話してくれます。

 

今はネット上で多様な意見を見ることができます。すべてを鵜呑みにしないまでも、情報を可能な限り探すことで、その会社で働いている人の現状が多少なりともわかるはずです。少なくとも、企業が公開している情報よりは、自分の条件と照らし合わせる材料とできそうです。

 

10年後20年後を視野に入れているか?

転職は重ねるほど疲弊する

ひと昔前と違い、転職はごく当たり前の選択肢となっています。リストラなど会社側都合による、残念な場合も含め、仕事を変えることは珍しくないイベントとすらいえる時代です。

 

とはいえ、外資系のような年俸制のシステムを採用している会社でもない限り、給与面では転職組にそう優しくはありません。

 

確かに転職後の働き方では、先からいる社員以上の給与を勝ち得ていくことは可能です。それでも、勤続年数の長い方が有利であることは否定できない事実です。特に退職金制度に関しては10年の違いが、後々大きく響きます。

 

また、転職の都度、書類作成・応募・面接をくり返すのが楽しいという人は、よほどの性格の持ち主でしょう。大抵の場合は途中で疲労を感じたり、意欲を失ったりと多くの感情に翻弄されるときを過ごします。

 

総合的に考えると日本社会においては、転職をくり返す生き方を推奨できません。「数年経って合わなければ辞めればいい」という考えは、危険過ぎます。応募する企業に対しても失礼な話です。

 

転職はこれで最後にする、という決意をもって就職活動に臨んでください。企業への選択眼に鋭さが増し、その時点の条件ばかりではない面にも目が行き届くようになります。

 

30代は確立の時

20代であれば自分の可能性に賭けて貪欲にチャレンジし続けても、尽きずにエネルギーが湧いてくるでしょう。しかし、30代はそろそろ自分を確立していかなければならない時期です。

 

企業側が30代を採用する意味には、例えその仕事自体が未経験であっても、何らかの強みを期待しているからです。転職後はそれまでの経験から得たものを、さらに高め、強化していく必要があります。

 

転職はそこまでの個人的な業績を、一度リセットします。リセット&リスタートばかり重ねていると、あっという間に40代へ突入してしまいます。

 

30代では短期間だけではなく、人生全体の「ワークライフバランス」をも視野にしていかなければなりません。40代、50代ではどうなっていきたいのか、そのために今何をすべきなのかを自問自答してみてください。

 

企業や社会がこれから必要とする洗練された能力を身につけようとしているのか、仕事一辺倒ではない人生を送ろうとしているのか。30代の選択は、今後のライフスタイルを決める重大な転換点ともなります。

 

憧れだけでは何も実現できないことを、すでに認識しているはずです。40代以降のキャリアプランを具体的に描き、この転職が確かな第一歩となる期待とともに行動していかなければなりません。


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